パワハラ

上司のパワハラでうつ病になり、
退職に追いこまれたとして慰謝料等を請求した事例

申請の概要

申立人(事業主) X (以下「申立人X」という。)は、不動産会社を経営しており、被申立人(元労働者) Y (以下「被申立人Y」という。)を雇用していた。被申立人Yは、申立人Xから異動を命じられ、その後に業務上のミス等を繰り返すようになり、やがて自己都合で退職するとして退職願を提出した。
しかし、退職後約半年後に、被申立人Yから申立人Xに、「退職の理由は、上司のパワハラが原因でうつ病になり退職に追い込まれたものであり、慰謝料等として賃金6か月分相当額金○○万円を請求する。」との内容証明郵便が郵送されてきた。円満な解決をすべく申立人Xは、被申立人Yとの話し合いで解決しようと連絡を試みたが、被申立人Yは「もう会社の人とは話したくない。」と話し合いを拒否し、その後連絡が取れなくなった。
そこで、申立人Xは、被申立人Yと円満な解決を求めて、あっせんを申立てた。
非申立人Yは、申立人Xへ慰謝料等の請求はしたものの、退職してからは申立人X側の人間とは一切被接触したくないと思い、申立人Xからの話し合いには応じなかったが、「あっせんでは相手方とは一切会うことはなく、専門のあっせん委員が間に入って解決を図る。」と聞いたため、応じることとした。

あっせん内容

申立人Xは、被申立人Yの仕事ぶりを評価しており、新規プロジェクトヘの配置転換も、期待の表れであり、急な退職やその後の賠償請求に戸惑っていた。しかし、被申立人Yとのトラブルを早期解決するため、「パワハラによる損害賠償という名目ではなく、解決金として賃金1か月分相当額○○万円を支払う用意がある。」との意向を示した。
あっせん委員は被申立人Y に対して、申立人X は在職中に被申立人Y が一生懸命に仕事に取り組んでいたことを評価していたこと等を伝えた。すると被申立人Yは、自身の在職中の仕事への姿勢を評価されていることを初めて知り、驚きと嬉しい気持ちがあると発言した。そして、解決に向けて前向きに考えたいが、賃金1か月分相当額は、当初請求した慰謝料と比べ差が大きすぎ、また今後の生活のために賃金3か月分相当額を支払ってほしいと回答した。
申立人Xはあっせん委員から被申立人Y の意向を聞き、賃金2.5か月分相当額を支払う意思を示し、被申立人Yはこれを受入れ、和解するに至った。

あっせん結果

以下の内容で和解契約が成立した。
申立人Xと被申立人Yは、被申立人Yの配置転換、更にその後の被申立人Yの退職に至るまでの間、
業務に関する指導、言動等の認識に齟齬があったことに相互に遺憾の意を表明する。
申立人Xは、本件解決金として被申立人Yに対し金○○万円(賃金2.5か月分相当額)を支払う。

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