社労士の業務内容や独占業務、試験・資格取得やキャリア、AI時代の将来性、そして相談・依頼の方法について解説しています。
最終更新:2026年7月8日 / 監修:全国社会保険労務士会連合会 / 掲載質問数:17問
01社労士とは・仕事内容について
社労士の位置づけや業務範囲、社労士だけに認められた独占業務、他士業との違いなど、社労士の基本を解説します。
Q社会保険労務士(社労士)とは何ですか?
A社会保険労務士(社労士)は、社会保険労務士法に基づく国家資格者です。人事労務管理の相談・助言と労働・社会保険に関する法令の手続きを専門に扱います。
社労士は社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)に基づく国家資格で、労働基準法・雇用保険法・健康保険法・厚生年金保険法など、労働関係・社会保険関係の法令を扱います。全国の登録者数は令和8年4月30日現在で47,234名にのぼり、企業の労務管理から個人の年金相談まで幅広く活動しています。社労士になるには、年1回の社会保険労務士試験に合格し、所定の実務経験等を経て全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録する必要があります。
現役社労士の声
企業の『人』に関する手続きと相談をワンストップで担う専門家、とイメージしていただくと分かりやすいです。
出典:社会保険労務士法/全国社会保険労務士会連合会「会員数の推移」(令和8年4月30日現在:47,234名) 更新:2026年7月8日
Q社労士はどのような仕事をするのですか?
A社労士の仕事は大きく「①労働・社会保険の手続き代行」「②帳簿書類の作成」「③人事労務の相談・コンサルティング」の3つに分かれます。企業の入退社手続きから就業規則の作成、労務トラブルの予防まで、職場の『人』に関わる業務を幅広く支援します。
具体的には、労働保険・社会保険の加入や給付の手続き代行、就業規則・36協定など労使関係書類の作成、給与計算、人事制度・賃金制度の設計、ハラスメントや長時間労働など労務トラブルの相談対応、年金の相談・裁定請求などを行います。これらのうち①②は法律で社労士だけに認められた独占業務です(後述)。
現役社労士の声
手続きの代行だけでなく、トラブルを『起こさない仕組みづくり』の相談が近年は増えています。
出典:社会保険労務士法第2条(社会保険労務士の業務) 更新:2026年7月8日
Q社労士にしかできない仕事(独占業務)はありますか?
Aあります。労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成と提出代行(1号業務)、及び帳簿書類の作成(2号業務)は、社労士だけに認められた独占業務です。資格のない人がこれらを業として行うことは法律で禁止されています。
社労士の業務は、1号業務(申請書等の作成・提出代行・事務代理)、2号業務(労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成)、3号業務(人事労務に関する相談・指導=コンサルティング)の3つに区分されます。このうち1号・2号が独占業務で、違反した場合は社会保険労務士法により罰則の対象となります。3号業務は独占ではありませんが、法令と実務の専門知識を持つ社労士が担う意義の大きい分野です。
現役社労士の声
『手続きは誰でもできる』と思われがちですが、法令に基づく書類作成・提出代行は社労士の独占業務です。
出典:社会保険労務士法第2条(社会保険労務士の業務)・第27条(業務の制限)・罰則規定 更新:2026年7月8日
Q社労士と行政書士・税理士は何が違うのですか?
A扱う分野が異なります。社労士は労働・社会保険と人事労務、税理士は税務、行政書士は官公署への許認可申請等が専門です。『会社の人(労務・社会保険)』のことは社労士、『お金(税金)』は税理士、というのが大まかな住み分けです。
社労士は労働保険・社会保険の手続きや就業規則の作成を独占的に扱います。税理士は税務申告・税務相談、行政書士は許認可申請書類等の作成を担当します。たとえば会社設立時には、税務は税理士、建設業許可などは行政書士、従業員の社会保険加入や就業規則は社労士、というように連携して進めるのが一般的です。
現役社労士の声
実務では各士業が連携することが多く、まず相談先に迷ったら『人の問題か、税金の問題か』で切り分けると選びやすいです。
出典:社会保険労務士法/税理士法/行政書士法(各士業の業務範囲) 更新:2026年7月8日
Q特定社会保険労務士(特定社労士)とは何ですか?
A特定社会保険労務士とは、個別労働関係紛争のADR(裁判外紛争解決手続)において、当事者の代理人として和解交渉などを行える社労士のことです。通常の社労士資格に加え、所定の研修修了と紛争解決手続代理業務試験に合格したうえで、社労士名簿に付記することが必要です。
特定社労士は、あっせん・調停といった労使間トラブルの裁判外紛争解決手続で、企業・労働者の代理人として主張や和解交渉を行えます。これは「紛争解決手続代理業務」と呼ばれ、特別研修を修了し試験に合格した社労士のみに付与される付記資格です。解雇・雇止めなどの紛争を、訴訟によらず迅速に解決する手段として活用されています。
現役社労士の声
訴訟まで行かずにトラブルを解決できるADRは、企業・労働者双方の負担を抑えられる現実的な選択肢の1つで、特定社労士がサポートします。
出典:社会保険労務士法第2条第1項第1号の4・第2項(紛争解決手続代理業務) 更新:2026年7月8日
02試験・資格取得・キャリアについて
受験資格から試験日程・科目・合格率、そして資格取得後のキャリアまで、社労士を目指す方に向けた情報をまとめました。
Q社労士試験に受験資格はありますか?
A社労士試験の受験資格は、「①学歴」「②実務経験」「③厚生労働大臣の認めた国家試験合格」の3つに分けられ、この中のいずれか1つを満たしている必要があります。
①学歴では、大学・短期大学・専門学校の卒業や、大学(短期大学を除く)で一定単位の修得等が該当します。②実務経験では、労働社会保険諸法令に関する事務などに通算3年以上従事した経験が必要です(単純な事務作業は対象外)。③国家試験では、行政書士試験合格者や司法試験予備試験合格者などが該当します。
受験資格の詳細は社会保険労務士試験オフィシャルサイトをご確認ください。
現役社労士の声
学歴で受験資格を満たさなくとも、行政書士資格を取得するといった方法で受験資格を得る方もいます。
出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト「受験資格」 更新:2026年7月8日
Q社労士試験はいつ実施されますか?申込みはいつからですか?
A社労士試験は年1回、実施されます。令和8年度(第58回)試験の場合は、試験日が8月23日(日)、申込期間は4月13日(月)〜5月31日(日)でした。
社労士試験は、毎年4月30日までに厚生労働大臣がその年に行う試験の期日、試験地その他試験の実施に関し必要な事項を官報において公告します。また、試験の申込みは5月31日までに試験センターが定める申込方法(インターネットまたは郵送)で行う必要があります。
申込みから受験・合格発表までの流れは「受験案内の公表→ 申込み→ 受験票送付→ 試験日→ 合格発表」です。令和7年度(第57回)は令和7年8月24日に実施され、合格発表は令和7年10月1日でした。最新の日程・受験案内は試験センターオフィシャルサイトでご確認ください。
現役社労士の声
例年、申込期間は一ヶ月以上ありますが、締切直前に慌てないよう、早目に申込みましょう。 郵送での申込みは記入箇所が多いため、インターネットでの申込みの方が簡単でお勧めです。
出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト「受験案内」 更新:2026年7月8日
Q試験科目と出題形式、合格基準を教えてください。
A試験科目は8科目、出題形式は「選択式(40点満点)」と「択一式(70点満点)」の2部構成です。 合格基準点は、選択式及び択一式のそれぞれの総得点と、それぞれの科目ごとに定められ、合格発表日に公表されます。各成績のいずれかが合格基準点に達しない場合は不合格となります。
試験科目は、以下の8科目です。
- 労働基準法・労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法
- 雇用保険法
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
- 労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識
午前に選択式、午後に択一式が行われます。 合格基準は年度により異なりますが、選択式も択一式も総得点・各科目とも一定点数以上取る必要がある点が特徴です。
現役社労士の声
1科目でも基準点に満たない場合は不合格になるため、苦手科目を作らないことが重要です。
出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト「合格発表」 更新:2026年7月8日
Q社労士試験の難易度・合格率はどのくらいですか?
A社労士試験の合格率は近年5〜7%台で推移しており、難関国家資格と言われることがあります。令和7年度(第57回)試験は受験者43,421名に対し合格者2,376名、合格率5.5%でした。
社労士試験が難しいと言われる理由は、試験科目が8科目で科目ごとに合格基準点が設けられていること、法改正が頻繁で最新知識が問われること等が挙げられます。令和6年度(第56回)の合格率は6.9%、令和7年度(第57回)は5.5%でした。
現役社労士の声
科目数の多さに圧倒されがちですが、法改正事項も押さえておきましょう。
出典:厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会 試験センター「第57回社会保険労務士試験合格者発表」(令和7年10月1日/合格率5.5%) 社会保険労務士試験オフィシャルサイト「合格発表」 社会保険労務士白書2025年版 P74 更新:2026年7月8日
Q社労士資格を活かせる就職先・働き方にはどのようなものがありますか?
A社労士の主な活躍の場は「独立開業」「社労士事務所・社労士法人での勤務」「一般企業の人事・総務部門での勤務」の3つです。独立した専門家としても、企業内専門人材としても活躍の道があります。
独立開業は、顧問契約・助成金申請・年金相談など、自身の強みに応じた事業設計ができます。多様な働き方の広まりやハラスメント対策など企業の労務ニーズの高まりを背景に、社労士の専門性への需要は今後も期待されています。勤務の場合は、社労士事務所・社労士法人における手続きや顧問業務の実務を幅広く経験できます。一般企業では人事・労務の専門職として、社会保険手続きや就業規則の整備、労務管理を担います。
現役社労士の声
一例として、社労士事務所や社労士法人、企業で実務経験を積み、その後独立するという段階的なキャリアの積み方があります。
出典:全国社会保険労務士会連合会 更新:2026年7月8日
03AI時代の社労士の将来性について
AI時代において、これからの社労士に求められる役割、将来性について解説します。
QAIの普及で社労士の仕事はなくなりますか?
AAI時代において、社労士の専門性はより重要になります。AIは定型的な手続き、計算、情報整理の効率化に役立ちます。社労士はAIに代替されない対話や関係調整、判断を担います。社労士は、人事労務分野における判断・調整・助言を担う専門家として、AI時代にも必要とされる職業です。
給与計算や書類作成といった定型業務はAI・クラウドにより効率化が進みます。一方で、複雑な労務トラブルの解決、企業ごとの事情に応じた制度設計、法改正を踏まえた経営判断への助言などは、専門家の経験と判断を要します。AIはむしろ社労士の生産性を高める『道具』として活用が進むと考えられ、今後の社労士業務の比重は定型業務から相談・コンサルティングへと移っていく流れにあります。
現役社労士の声
AIは法令やルールは教えてくれますが、そのルールをどのように自社に落とし込むのかを一緒に考えるのが、社労士の役割です。
出典:全国社会保険労務士会連合会(社労士業務の専門性に関する見解) 更新:2026年7月8日
QAI時代に社労士に求められる役割はどう変わりますか?
AAI時代の社労士には、手続きの代行者から「経営者と働く人をつなぐ相談・課題解決のパートナー」への進化が求められます。AIが処理した情報を踏まえ、企業ごとの最適解を導く専門的判断と人間的な対応力が、これまで以上に重要になります。
労働関係法令は毎年のように改正され、ハラスメント、メンタルヘルス、多様な働き方、人手不足対応など、企業が向き合う労務課題は複雑化しています。AIが一般的な情報提供を担う一方、個別企業の状況に踏み込んだ助言、トラブルの未然防止といった、企業や働く人の状況を丁寧に把握し、安心して働くことのできる職場構築の支援を行うことは、社労士の専門性が発揮される領域です。
現役社労士の声
『正しい答え』だけではなく、『この会社にとっての答え』を一緒に考えるのが、これからの社労士の仕事だと感じます。
出典:全国社会保険労務士会連合会(労務環境の変化と専門家の役割) 更新:2026年7月8日
Qこれから社労士を目指すのは将来性がありますか?
A将来性は十分にあると考えられます。働き方改革・労務コンプライアンス・人手不足への対応など、企業の人事労務ニーズはむしろ拡大しており、専門家としての社労士の需要は堅調に推移しています。
労働関係法令の改正が続き、企業が適切に対応するための専門家ニーズは高まっています。社労士は独立開業と企業内のキャリアの双方が選べ、若いうちから経験を積むことで、年齢を重ねても活躍できる資格です。AIを使いこなしながら相談・コンサルティングに軸足を移すことで、長く活躍できる専門職といえます。
現役社労士の声
資格を取ったら終わりではありません。法改正を学び続け、多くの企業や働く人と向き合う中で、専門性も人としての成長も積み重なり、それが信頼につながる仕事です。
出典:全国社会保険労務士会連合会/労働関連法制の動向 更新:2026年7月8日
04社労士への相談・依頼について
どのようなときに相談すればよいか、依頼できる内容、スポット・無料相談の活用、そして社労士の探し方等をまとめました。
Qどのようなときに社労士に相談・依頼すればよいですか?
A従業員を雇用したとき、労働保険・社会保険の手続きが必要なとき、就業規則を作りたいとき、労働条件を見直して従業員の確保や定着を図りたいとき、従業員を適正に評価・処遇したいとき、労務トラブルや残業・ハラスメントの相談が生じたとき、活き活きと安心して働ける職場環境を作りたいとき、助成金を活用したいときなどが代表的な相談タイミングです。個人では年金の相談・請求でも社労士がサポートします。
企業では、入退社に伴う社会保険手続き、就業規則・36協定の作成・届出、給与計算、人事制度の設計、労使トラブルの予防と対応、各種助成金の申請などが主な依頼内容です。個人では、障害年金・老齢年金などの相談や裁定請求の支援が代表例です。『職場における人の問題や保険・年金に関する困りごと』があれば、まず相談先として社労士を検討してください。
現役社労士の声
人材の確保や活用に向けた仕組みを作るときにご相談いただけると、成長できる組織作りのサポートができます。
出典:社会保険労務士法第2条(業務範囲) 更新:2026年7月8日
Q社労士に相談・依頼できることは、どのようなものがありますか?(企業・個人)
A企業は人事労務全般(社会保険手続き・就業規則・給与計算・労務トラブル・助成金など)を、個人は主に年金(障害年金・老齢年金)の相談や請求手続きを依頼できます。労働・社会保険に関わる『手続き』と『相談』の両方が対象です。
企業向けには、労働保険・社会保険の各種手続き代行、就業規則や各種規程の作成、給与計算、労働時間・ハラスメント対応、人事制度構築、助成金申請などがあります。個人向けには、年金の受給相談や障害年金の裁定請求支援などが代表的です。なお申請書類の作成・提出代行は社労士の独占業務であり、専門家に任せることで手続きの正確性と安心感が得られます。
現役社労士の声
企業の助成金申請や、個人の年金請求手続き等は要件確認が複雑なケースが多いことから、専門家に任せることで迅速に手続きが行えます。
出典:社会保険労務士法第2条/全国社会保険労務士会連合会 更新:2026年7月8日
Qスポット(単発)相談や無料相談はできますか?
A社労士事務所によっては、顧問契約を結ばないスポット(単発)相談にも対応しています。また、各都道府県の社会保険労務士会や行政機関による無料相談も実施されています。
顧問契約までは考えていない場合でも、特定の手続きやトラブルについてスポット(単発)で相談・依頼できます。料金は事務所により異なるため、事前確認が安心です。費用をかけずに相談したい場合は、各都道府県の社会保険労務士会が実施する無料相談会や、行政機関の年金・労務相談窓口を活用する方法があります。
現役社労士の声
まずはスポット(単発)相談で相性を確かめ、必要に応じて顧問契約に進む、という流れが安心です。
出典:各都道府県社会保険労務士会の相談事業/各社労士事務所の料金公表値 更新:2026年7月8日
Q社労士に依頼したい場合はどのように探せばよいですか?
A社労士を探すには、都道府県社会保険労務士会が提供する会員名簿・検索サービスの利用をご案内しています。登録情報に掲載されている社労士事務所(法人)の所在地や、専門分野等から相談したい社労士を探すことができます。
社労士は連合会への登録が義務づけられた国家資格者であり、無資格者が独占業務を行うことはできません。社労士に依頼する際は①相談分野(労務・年金・助成金など)の専門性、②対応範囲と料金の明確さ、③相談時の説明の分かりやすさやレスポンスの早さ等を確認するとよいでしょう。まずは都道府県社労士会の窓口や検索ページから、お近くの社労士を探してみてください。
各都道府県の社労士会を探す
現役社労士の声
社労士によって得意分野は異なります。『何を相談したいか』を最初に伝えると、ミスマッチを防げます。
出典:全国社会保険労務士会連合会/各都道府県社会保険労務士会(会員検索・相談窓口) 更新:2026年7月8日
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